理想の恋愛関係
「龍也の持って来た仕事は大きいの。知り合いがネイルサロンをオープンするらしくそこの装飾を任せてくれるのよ、しかもこの先もずっと」


それは……確かに良い仕事だと思う。


定期的な仕事は安定しているし、スケジュールも組みやすい。


「報酬もいいから逃したくないの。事務所の為でも有るんだから、緑も仕事だと割り切って付き合って、接待よ」


確かに、私達みたいなこじんまりした事務所は仕事を選んでいられない。


今はラッキーな事に順調な経営だけど、いつどうなるかは分からない。


少しでも顧客を獲得して、人脈も広げるのは大切な事だった。


「……分かった。でも私は9時には帰らせて貰うから、明日予定が有るの」


諦めてそう言うと、鈴香はホッとした顔をした。




予想していたけれど……飲みに行ったところで全く盛り上がらなかった。


龍也はえらく機嫌が良くて、ペラペラと自慢話を繰り広げていたけど、はっきり言ってつまらなかった。


鈴香も顔が引きつっている。


ああ、早く帰りたい。


何でわざわざ龍也を接待しなくちゃいけないのか。


だいたいネイルサロンだって、龍也が開く訳じゃないのに、龍也に装飾の依頼の権限なんて有るのだろうか。


なんとなく、胡散臭く感じる。


疑いの目で見ていると、龍也と目が合ってしまった。


心底嫌だなと思っていると、龍也はわざとらしく微笑みながら言った。


「緑、そう言えば二ノ宮さんと寄りを戻したのか?」

「……どうして?」


不快になりながら、聞き返す。
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