理想の恋愛関係
「歓迎されてないようだし、俺も緑には愛想が尽きたから、個人的に会うのはこれで最後にしよう」


……こんなに人をイライラさせる龍也ってある意味凄いと思う。


鈴香はこの状況を楽しんでいるのか、笑いを堪えたような顔で私を見ている。


けれど、続いた言葉に、一気に顔を強ばらせた。


「鈴香さん、仕事は変わらずに頼むよ。今のところ結果は出せてないみたいだから頑張って。紹介した俺の顔を潰さないように頼むよ」

「……」

「じゃあな」


龍也は、キザに笑うとスタスタと元居た席に戻って行った。


龍也が戻ると、連れの女性達は歓迎するような声を上げる。


相変わらず外面は良いみたいだけど……こっちはムカついて仕方ない！


それは鈴香も同じ様で、眉間にシワを寄せて龍也を見ていた。


「なんか……後味悪いね」


鈴香はハアと溜め息を吐きながら言った。


「本当。居なくなってくれたのは嬉しいけど」

「あれって緑に言われた事でムキになったのが恥ずかしくなったんだろうね。余裕の振りして去って行ったけど」

「さあ、龍也の考えは分からないわ」

「……出よっか」


私達は店を出て、夜の街を歩き始めた。
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