理想の恋愛関係
え……どうして?


どうして優斗君の携帯から、女性の声が?


この人……誰?


胸がザワザワとして、心臓がドキドキとした。


漫画とかだとこの状況は優斗君の事を好きな女性……つまり私のライバルが優斗君の隙を狙ってかけて来たってパターンが殆どだ。


でも優斗君がそんな不実な事をするとは考え辛い。


となると、この女性は誰?


やけにモゴモゴと籠もった声で判別出来なかったけれど、警戒していた吉澤留美では無いような気がする。


どう反応すればいいのか悩む。


……でも、謎だらけだけれど優斗君の電話を使える程親しい事に間違いは無い。


と言う事は……やっぱり敵?


まさか修羅場?


そんな事を数秒で考えながら、私は厳しい声で答えた。


「あなたは? 先に名乗らないのは非常識だと思うけど?」


甘くみられる訳にはいかない。


はっきりと強く言うと、相手は小さく息を飲んで黙り込んだ。


……何だか気が弱そう。


拍子抜けしながらも、早口でまくし立てた。


「黙られても困るわ。あなた名前は? 二ノ宮さんの電話からかけて来ているけど彼とはどんな関係?」


この際、全て聞き出さないと気が済まない!


「もしもし、聞いているの?!」


プレッシャーをかけるように言う。


相手はかなりオドオドした様子で、

「……優斗の母です」

消え入りそうな声で言った。
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