理想の恋愛関係
「あの時優斗君は好きな人がいるから私と気持ちの無い結婚は出来ないって言ったのよ? そんな相手を庇えるわけ無いでしょ?! 私はそこまで心が広くないし、それにプライドだって有るの」

「……」


感情的に言うと優斗君はバツが悪そうな顔をして、俯いた。


それから、少しの間をおいて静かな声で言った。


「すみません……無神経な事を言った事は謝りますが、今後緑さんと付き合う気持ちは有りません。申し訳ないけど……」


……あっさりと振られてしまった。


検討すらして貰えなかった。


簡単に受け入れて貰える自信は無かったとはいえ、やっぱりショックだった。


優斗君は私に頭を下げると立ち去ろうとする。


でも……振られたと言うのに、どうしても諦め切れなかった。


「私、諦めないわ。プライドを捨ててこうやって話に来たのに軽くあしらおうなんて許せない」


自分でも、滅茶苦茶だと分かっているのに止められない。



「どうしても嫌なら……試しでいいから1ヶ月だけ私に付き合って」

「1ヶ月って……」

「1ヶ月付き合ってみて、それでも嫌ならその時は、黙って別れるわ」

「どうしてそこまで……」

「自分でも分からないけど……この前優斗君に振られた時、大した抵抗もしないで、本音を言わなかった事を凄く後悔したの。だからやるだけの事はやりたくて」

「それに俺を巻き込まれたら困ります。俺は今問題だらけだし、緑さんに付き合う時間は無いんです」


突き放すように言われ、さすがに一瞬怯んでしまう。


けれど、すぐに強い口調で言い返した。
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