理想の恋愛関係
「母の問題と向き合うのは本当に大変な事です。他の事を考える気持ちと時間の余裕なんてない」

「……」

「仕事に行って、病院に行って……緑さんと会う余裕は有りません。だから約束には後半月有るけど、会うのは今日を最後にしたいんです」


話の流れから予想はしていたけれど、はっきりと言われ頭を殴られたようなショックを受けた。


「……事情は分かった……優斗君が今大変なのも」


優斗君の話は理解出来た。


優斗君がここまで言うんだから、本当に私の存在は迷惑で重荷なんだろう。


でも……それでも、


「……最後になんてしたくない。大変な時期なのは分かったから、私も無理に誘うのは止める様に気を付けるから」


気付けば、必死に縋る様に懇願していた。


けれど優斗君は首を横に振って拒絶した。


「約束の期間は後半月。緑さんに気を使ってもらっている内に終わってしまう……緑さんにとっても時間の無駄でしかないと思います」

「無駄だなんて、そんな事……」


「無駄でしょう? 仕事が終わったら病院に行って……無理に会っても、その後僅かな時間しかないし意味がない。結局半月後には別れるんだから」


「……!」


優斗君にはっきり別れると言い切られ、私は今までに無いくらいのショックを受けた。


自分で言い出した約束で、私の想いは身勝手だって分かってる。


でも感情は割り切れなくて泣き出したくなった。

< 83 / 375 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop