理想の恋愛
 さて、あの二人はいつになったら話が終わるのかな…。


 とりあえず二人の様子を確認してみる。まだ何やら話し込んでいる様子だった。このまま待ってても埒が開きそうにないので声をかけることにした。


「おい、彩恵」
「あら、神童君。 麗さんは?」
「あいつは先に教室に戻した。 それより俺に用だったんだろ?」
「え? あぁ、それならもぅ解決したわ」
「そうか、なら俺は先に教室に戻ってるぞ?」
「えぇ…。 あ! そうだ、神童君」
「ん? なんだ?」
「今日の放課後、教室で待っててくれる? みんなで一緒に帰るって話になったから」
「俺は良いが、麗達は部活があるだろ?」
「今日は校舎内の増築の工事があるから各部活はすべてOFFよ。 朝のSHRで言われたでしょ?」


 そういえばマッキーがそんなことを言っていたような…。

「朝は花見をしていたから連絡を聞きそびれてたんだ。」
「はいはい、とにかくそういうことだから勝手に帰ったりしないでよ?」
「わかったよ。 じゃ、俺急ぐからまた後でな」


 俺は挨拶もご無沙汰にさっさと保健室を後にした。


 俺が教室についたときにはすでに授業開始1分前だった。超ギリギリだな。


「お、やっと戻ってきたな」


 和磨が俺の席でエロ本を堂々と広げながら俺に向かって皮肉たっぷりの口調で話しかけてくる。


「お前は人の席で何をしてるんだ!」
「いいじゃねぇかよ! どうせ、お前ほとんど教室にいなかったんだから」


 それを言われると弱い。

「とにかく早くそいつをしまえ」
「へいへい」
「で、なんか用か?」
「あぁ、北原様が今日はみんなで帰るからここで待ってろって伝言を…」
「それならさっき彩恵から聞いたよ」

 和磨は彩恵の素を知らないため、彩恵のファンクラブにどっぷりとつかっている。哀れな万年発情男だ。そんなやり取りをしているうちに授業の始まりのチャイムが鳴り、バーコードが教室に入ってきた。
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