理想の恋愛

プロローグ:束の間の休息

「えー、ではここの英文の訳を…古田、前に出て来て訳を書いてくれ。」


現在、4限目の授業(英語)中である。いや、授業中という名の自由時間だな。

万年発情男は堂々とR-18の本を熟読し、運動神経皆無女はまともに授業を聞いているものの机の上にはメロンパンしかない。その数目測でおよそ7個。腐女子は同人誌を熟読。この3人に限らずまともにバーコードの授業を聞いているものは1人もいない。


バーコードこと柳田 晴夫(ハルオ)。ニックネームの由来は…言わずともてあろう。柳田は授業をめんどくさがり、他のクラスに迷惑さえかけなければ授業中に何をしてようがオッケーという方針を新学期の最初の授業で公表した、教師と言うには程遠い人物なのである。

多田といい柳田といい、この学校にはまともな教師か1人もいないな。

改めてそんなことを実感する。


--「実、お父さんは咲と少し出かけてくるから、お前は…と一緒に仲良く留守番しておくんたぞ」

親父はそう言い残して咲と家を出て行った。家には俺ともう1人女の子が残っていた。何処か寂し気なその横顔。俺はその面影にどこか見覚えがあつた。でも、ハッキリと思い出せない…--
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