その指に触れて
「……ここから出せ」

「やるまで出さない」

「最初からそのつもりだったでしょ」

「わかってたんなら、なんで着いてきたの?」


あたしの腕を掴んだまま、晃彦がくくっと笑いを漏らす。


「あんたといるとこ、見られたくなかったからね」

「遥斗って奴に? それこそ今更だろ。万梨子は既に俺を受け入れてるってのに。せめて知られたくないってこと?」


あたしは晃彦を睨みつけたまま、黙っていた。


ごもっともだった。晃彦を受け入れてしまった以上、遥斗にだけはそのことを知られたくなかった。


何やってんだか、あたしは。


「言っとくけど、逃がすつもりもないからね。……気づいてる? 万梨子ってさ」


晃彦があたしの顔に唇を寄せて来る。顔を逸らしたあたしの耳にその唇が触れた。


「…………っ」

「好きじゃない奴にも感じるんだな」


耳元で囁かれた瞬間、体がびくんっと反応した。


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