この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

帰りの車の中、銀は何度もキスしてくれた。


私の中のわだかまりは消え、銀を信じようと思う気持ちが大きくなっていた。


でも、頭を過ぎるのは華のこと。真実を話すべきなのか、そのことだけは迷いが消えない。


家に帰ると華とキャサリンママにこっぴどく叱られた。


「連絡もしないで、どこ行ってたの?」

「母親失格だね。ミーメさん!」


ひたすら謝るのみ。


華には銀のこと言えなかったけど、ママにはちゃんと報告した。話しを聞いたママは一言「良かったね」そう言って抱きしめてくれた。


ポニョポニョのママのぜい肉に包まれると、なんだか安心するんだよな……


そしてその夜は、銀との情事が頭から離れず目はギンギンに冴え、いつもならすぐに襲ってくる睡魔もなりを潜めてしまったのか、中々眠ることが出来ない。


て、ことは……


「ひぇ~! 寝過ごしたー!」


メイクもせず部屋を飛び出す。


「もぉ~ミーメさん最悪~」

「華こそ、目覚まし鳴ったの知ってるなら起こしてよ!」

「子供を頼るなんて、ホント、情けない」


華にピシャリと言われて撃沈。


とにかく遅刻だけは、なんとしても避けなければ……目に浮かぶのは、怒り狂った橋倉さんの顔。


なんとか会社のビルに辿り着くとエレベーターまで猛ダッシュ!


「よし! まだ10分ある。余裕のよっちゃんだ!」


エレベーターの扉が開くのがまどろっこしい。扉を手でこじ開け、再びダッシュ!


廊下を疾風のごとく走りぬけ、角を曲がろうとした時だった。


「うわっ!!」


デカい何かにぶつかって私の華奢な体は見事に吹っ飛ばされ、尻もちをついて尾てい骨を強打!


「ううぅ……っ、痛って~死ぬぅう……」


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