この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「おや? どうしたの?」


医務室に居た女性は、どう見てもおばあちゃんだ。


「廊下でぶつかってケツ打ったみたいでさ~診てやってよ」

「ほいほい」


軽いノリのふたり。私、結構切羽詰っているんだけど……


「そこのベットに寝かせて」

「あいよ~」


硬いベットに下ろされ、うつ伏せになるとそのおばあちゃんが私のスカートを捲ろうとする。


「あ゛ーーっ!」


男の居る前で捲るかぁ~? 勘弁してくれよぅ。おばあちゃん!


「あぁ、ゴメン、ゴメン。アンタは出てってちょうだい」


そう言って赤毛さんに向かってシッシッとかやってる。


「分かってるよ。あ、そうだ。ケツの彼女、部署はどこ? ケツ打って医務室に居るって、アンタんトコの部長に言っといてやるから」

「ケ、ケツケツって言わないで下さい。私はリゾート開発営業部です」

「リゾート開発営業部? もしかして、第3フロア?」

「そうですけど……」

「て、ことは、沢村部長の部下か……」


赤毛さんの表情が少し険しくなる。


「何か?」

「いや、じゃあな」


乱暴にドアを閉め出て行く赤毛さん。それを確認するとおばあちゃんが私のスカートを捲り上げ、パンツをお尻の真ん中辺りまでズリ下ろす。


「ひぃ~……」

「さて、診ましょうか?」


おばあちゃん、ヤル気満々だけど、ホントに大丈夫かな? それより、この四つん這いでお尻を突き出した格好……実に情けない。


「骨には異常ないみたいだね。湿布しとけばその内治るよ」

「マジっすか?」

「マジっす!」


このおばあちゃん、中々ノリがいい。


「じゃあ、湿布するからね~」

「あい」


が、私が返事してから既に10分はたってる。何やってんだ? おばあちゃん!


「悪いねぇ~最近、老眼鏡が合わなくて……湿布のフィルム剥がせないよ」


と、その時、医務室のドアがまた勢い良く開いたんだ。


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