この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「悪い。アンタの名前聞くの忘れて……うおぉぉーっ!」
「ウギャー!」
見られた。半ケツ状態の悲惨な姿を見られてしまった。
「ケケケ……ケツ」
「ケツケツ言うなぁ~そんで、見るなぁ~!」
手元にあったシーツで下半身を隠したが、時既に遅し。赤毛さんの仰天した顔がそれを物語ってる。
「桃みたいなケツだな。ごちそーさん!!」
「ひひひぃ」
この赤毛ヤロー最悪だ!
険悪な空気が漂う中、赤毛さんは何ごとも無かった様にケラケラ笑ってる。するとおばあちゃんが私に小声で耳打ちしてきた。
「大丈夫だよ。見られたのはお尻のワレメちゃんだけだから。あっちのワレメちゃんはセーフだよ」
「……ワレメちゃん?」
思わず目が点。そして、赤面したその時――
「……ワレメちゃんがどうした?」
まさか、この声は……
恐る恐る開けっ放しになっていたドアの方に視線を向けると銀が腕組をして立っているではないか!
弱り目に祟り目とは、こんなことを言うのだろう。
「よう、沢村部長さん。具合でも悪いのかな?」
赤毛さんが挑発するみたいに銀を横目で見る。
「俺の心配してくれるのは嬉しいが、あいにく至って元気だ」
「ほーっ、なら、ここになんの用で?」
「ウチの部下がニンジン頭の男に連れ去られたって聞いたもんでね。医務室の方へ行ったって話しだっからな。一応、覗きに来たんだ」
「へぇ~…ただの女子社員を部長自らお迎えとは……ご親切なことで。それとも何かな? この彼女は特別な女?」
「……くだらん」
このふたり、どうも仲良しこよしではない様だ。それにしても、イケメンがふたり、いい目の保養だ。
なんてウットリしてると赤毛さんが突然私を指差し「もしかして、この桃尻ねーちゃん、あの噂の女か?」って大声で叫ぶ。