この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「噂の女?」
何? 何? 私って、なんて噂されてるの?
ワクワクしながら目をパチクリさせてると銀がイラついた様に聞き返す。
「噂? なんだそれ?」
「沢村部長のお気に入りが変な女で納得出来ないって、ウチの部の女子社員が言ってたよ」
変な女……? 私のイメージ最悪じゃん。
「ちょっと! 私、変な女じゃ……」
反論しようとした私の言葉を遮り、銀が話し出す。
「そうだ。コイツは確かに変な女だ。でもな、実に面白いヤツなのも事実。飽きのこないのが一番だ」
銀、それって私のこと褒めてんの? けなしてんの? どっちよ?
「なるほど。飽きがこないか……それは俺も認める。すっぴんで会社に来る女性社員を初めて見たからなぁ~」
納得するな! 赤毛ヤロー! 好きですっぴんで来たワケじゃない!
「でも、俺とコイツの間には何も無い。変な勘ぐりはやめろ」
流石に銀も交際宣言は出来ないよね。お仕置きという名の島流しが待ってるだもん。
「まぁいい。今日の所はそういうことにしといてやるよ。もうそろそろアポの時間だから、俺は失礼する」
すると今まで黙ってたおばあちゃんも「沢村部長さん、私もそろそろコーヒータイムなんでね。この子のことよろしくね~」そう言うと赤毛さんと仲良く医務室を出て行く。
それも、腕なんか組んじゃって……あのふたりデキてるのか?
キモッ! とか思ってると銀がベットにドカリと座り、眉間に深いシワを寄せる。この顔は、間違いなくご機嫌斜めの顔だ。
「ミーメ……」
「はいっ」
「なぁ、ワレメちゃんて、なんのことだ?」
「あ……」
「答えろ」
「それは……銀、怒んない?」
「あぁ、怒るもんか」
「ホントにホント?」
「ホントにホントだ」
「ホントにホントにホント?」
「当たり前だろ? 大事なミーメを怒るワケないだろ」