この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

なんて、私の肩を抱き優しく微笑むから、ホントのこと話したのに……


「バカヤロー! アイツに尻見せたのか? この変態露出狂女!」


銀の嘘つき。怒んないって言ったのにぃ~


「だから、あれは事故みたいなもんよ。好きで見せたワケじゃない」

「当たり前だ! 好きで見せたんなら、今ここでミーメを絞め殺す」

「でもね。見られたのはお尻のワレメちゃんだけだよ」

「お前なぁ~どっちのワレメちゃんも見せんな! 特に、あのニンジン頭には見られたくねぇ」


不謹慎かもしれないけど、唇を尖らせヤキモチを焼く銀の顔にキュンとしてしまった。


「いいか? もうアイツには関わるな」

「分かった。でも、あの赤毛さんって何者なの?」

「アイツはリゾート開発営業部、第2フロアの部長だ」

「えぇー! あの赤毛さん、部長だったの? それも隣のフロア……でも、今まで一度も見たことなかったな」

「当然だ。アイツは2ヶ月間、名古屋支社へ長期出張だったからな。今日が久しぶりの本社出勤だ」


そう言うと銀は私の横にゴロンと寝転ぶ


「ふーん。でも、銀と赤毛さんって仲悪そうだね」

「あぁ、嫌いだ。生意気にも、偉そうに俺にライバル意識持ってやがる。毎月の営業利益がウチに勝てないからって、嫉妬してんだろ。

それに、アイツは専務の息子だからな。いい成績残して早く出世しろって親父に言われてんじゃねぇの?」

「専務の息子?」


なるほど。だからあんなに態度デカかったのか……ヤツも金持ちのボンボンなんだ。


別に好きで関わったワケじゃない。それに、人のこと"ケツ"呼ばわりする男なんて、こっちから願い下げだ。


「で、尻は大丈夫なのか?」

「大丈夫じゃないよ~おばあちゃんたら、湿布貼らずに出てっちゃうし、そうだ、銀、湿布貼ってくんない?」

「尻にか?」

「そう」

「ふざけて言ってんのか?」

「まさか~至って真面目に言ってんだけど」

「俺がそんなことすると思うのか?」

「彼氏なら当然でしょ?」

「なら、別れるか?」


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