この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「あら? 誰かと思えば、変わり者の新人じゃない」
変わり者?
その言葉が更に私をヒートアップさせる。
「ふざけるな! 人の悪口言って笑ってんじゃないよ! アンタら、何様のつもり?」
ひとりの女性社員に掴みかかった私を必死で止める橋倉さん。
「ダメ! 神埼さん。よして」
そこで初めて橋倉さんの存在に気づいた女性社員達。見る見るうちに顔が青ざめていく。
「あ、あの……私達は別に……橋倉さんのことバカにしたんじゃ……」
シドロモドロになりながら弁解するも、それはもう後の祭り。
橋倉さんのカミナリが落ちると確信してた私の期待に反し、彼女は何も言わず私の手を引き歩き出す。
「ちょっ、橋倉さん! なんでなんにも言わないの? いつもみたいにガツンと……」
「……いいの」
「でも、そんなの腹の虫が治まらないよ」
「いいって言ったら、いいのよ」
エレベーターに乗った時、私は見てしまった。橋倉さんの涙を……
「橋倉さん……」
「私ね、知ってたの。他の社員が私のことバカにして笑ってるってこと。ホント、いい年して情けないわね」
「そんな……いい年って……橋倉さんまだイケてるって! お肌もツルツルだし、シミもないし、30歳をちょっと過ぎただけじゃない。まだまだこれからですよ」
「30歳?」
「……でしょ?」
「あの……私、40歳なんだけど……」
「えっ……」
まさかそんな年だったなんて……30代なら、まだフォローのしようもあるけど、40代となると……
「でも、そんなに若く見えるってことは、ある意味凄いですよ」
「ありがとね。でも、神埼さんが居てくれて良かった。私ひとりだったら、きっと取り乱してたと思う」
目に涙を溜め必死で笑顔を作ってる橋倉さんが、なんとも健気で胸が熱くなる。
「橋倉さん、飲みに行きましょ!」
「えっ?」
「今夜は飲み明かしましょうよ!」
今日は、橋倉さんを励ます会だ。