この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
銀が出張に行って3日目の夜。ようやく銀から連絡があった。
「もぉ~なんでもっと早く掛けてこないのよ? こっちから携帯に掛けてもずーっと圏外で繋がらないし、不安で眠れなかったんだよ」
『無茶を言うな。ここは携帯の電波が届かないんだ』
「へっ? 電波が届かないって……いったい、どこに居るの?」
『離島だ』
「りっ、離島?」
『今度、この島にリゾート施設を造る予定でな。その現場視察と工事の進み具合の確認で来てるんだ。
だからまだ、携帯の基地局は建設途中。よって、携帯は繋がらない。分かったか? バカミーメ』
「バカって何よ! 銀が変な女に引っかかってんじゃないかって、凄く心配したんだから」
『ほほぉ~俺が変な女に引っかかると思ってるのか? ミーメ以上の変な女がこの世に存在するワケねぇだろ?』
「ちょっと! ソレ、酷くない?」
『それに残念ながら、ここにはイタチや狸くらいしか居ねぇし……流石にイタチのメスとはスる気にはならねぇよ』
「ならいいけど。でも、どうして銀がそんなとこに行かなきゃいけないの? 別に赤毛さんでもいいじゃない」
この会話、赤毛さんが聞いたら怒るだろうな……
『あんなチンタラしたチャラ男に任せられるか! 社運が掛かった大事なプロジェクトなんだ』
赤毛さん、ボロクソ。
『とにかく、大人しく待ってろ』
「……うん」
切れた携帯を握り締め、益々、銀に会いたいと思ってしまう。
銀……
私ね、決心した。銀が出張から帰って来たら、今度こそ華のこと話すよ。
あんなに華のことに一生懸命になってくれる銀だもん。自分の娘だって分かっても、きっと可愛がってくれるよね。
そう決心して眠る華を抱きしめた。
華、もうすぐ華にもパパが出来るからね。