この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「どうぞ、お座り下さい」


優しく微笑む専務さん。


銀はソファーに腰を下ろしたけど、私は立ったまま呆然と専務さんを見つめていた。


「よ、横田さん」

「ミーメちゃん、お早う。そちらは沢村さんですね? やっぱり、昨夜お見かけした方だ……」


すると銀は顔色一つ変える事無く、コクリと頷く。


「はい。確か、ホテルのレストランで……ウチの神埼がお世話になっているようですね」


声はふたりとも穏やかだけど、向かい合った眼は、お互いをけん制している様だった。


「あわわ……」


朝っぱらからヤバいことになった。


乱闘なんかになったらどうしよう……なんてヒヤヒヤしてたけど、そこは、ふたりとも大人だ。仕事の話しになると雰囲気が一変。


「ほーっ、ゴルフ場もあるんですか?」

「はい。メンバー様になって頂ければ、プレー料金は無料です」

「そうか……我が社もそろそろ社員の為に保養施設をと思ってたものでね。新たに施設を造るより、既存のリゾートの方が予算的にいいんじゃないかと思って来てもらったんだが……」

「それでしたら、こちらのリゾート施設は十分満足して頂ける思います。法人契約ですと記名者の5名の他、記名者のご紹介であれば貴社の社員の方は無料。

そのご家族はビジターとして、おひとり5千円でホテルを含む全ての施設をご利用して頂けます。メインバンクは東洋中央銀行でして、資金面でのバックアップもして頂いております」

「経営母体は?」

「外資系の投資会社メビウスです」

「なるほど……」


パンフレットを手に暫く考え込んでいた横田さんだったが、数分後には申し込み書にサインしていた。


「有難うございます」


銀が契約書をアタッシュケースに入れ立ち上がろうとした時だった。


「沢村さん、悪いが座ってくれるかね」

「何か?」


今までの横田さんとは全然違う表情だ。


「ここからが本題だよ」

「神埼のことですか?」

「分かっているなら話しが早い。君も男ならハッキリさせてくれないか? ミーメちゃんのこと、どうするつもりかね?」


横田さん……


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