この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
聞きたいけど、聞きたくない。
そんな思いで銀の答えを待っていたんだけど、銀は何も言わずに立ち上がり、あくまでも営業マンの顔で横田さんを見下ろす。
「失礼ですが、専務にプライベートに関することをお話しをするつもりはありません。これは、私と神埼の問題です」
「僕には、関係ないことだと?」
「そうです。専務と神埼がどんな付き合いをしているかは知りませんが、私たちの仲を専務に報告する義務はありません」
「ほーっ……言ってくれるね」
深く一礼した銀がドアに向かって歩き出す。が、その後姿に横田さんは信じられない言葉を投げ掛けたんだ。
「僕が、ミーメちゃんの父親でもかね?」
慌てて振り返る銀。そして、私は呆然。
「ありえない……」
私が漏らした言葉に、横田さんは首を振る。
「本当なんだよ。ミーメちゃん。君は、僕のたった一人の娘……この世で一番大切な人なんだ」
「うそ……そんなの信じない」
青ざめる私の隣に座った横田さんが、真顔で何度も"父親"というワードを口にする。
「イヤイヤ! 聞きたくない。そんな嘘つく横田さんなんて、大嫌い!」
「頼む。話しを聞いてくれ……」
混乱してる私の頭を撫でたのは、銀だった。
「落ち着け。話しを聞こう」
「銀……」
向かいのソファーに戻った横田さんが大きなため息をつき、再び話し出す。
「元妻……つまり、ミーメちゃんの母親と別れた話しは、前にしたよね?」
「……う、うん」
「彼女が君に僕のことを酷い男だったと言ってたことを知って、ショックだったよ。僕は借金なんか残して失踪なんてしてない。
借金を作ったのは彼女の方だ。僕は君を引き取るつもりでいたのに、彼女は約束を破り、君を連れ姿を消した。
探したよ……探偵事務所にお願いしたこともあった。でも、どうしても見つけられなかった。
そして20年。行きつけのバーで"神埼美衣芽"という女性に出会った。名前を聞いた瞬間、娘だと確信したんだ。
だってね、"神埼"は別れた妻の旧姓"美衣芽"という名前は僕が付けたんだから。
君が産まれた時の名前は"横田美衣芽"たったんだよ」