この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
暫くすると横田さんがスーツ姿で現れた。そして、呼んでもないのに橋倉さんも登場。
橋倉さん、やっぱり来たか……
「横田さん、どうでもいいけど、運動会にスーツはちょっと……」
「あ、やっぱりそうか……運動会なんて初めてだから、迷ったんだけど、孫の晴れ姿を見る時は、ちゃんとした格好でと思ってね」
緊張気味にそう言うと正座して手を膝の上でギュッと握り締める。
新米おじいちゃん、かなり勘違いしてるなぁ~
それに比べ、橋倉さんはどこで買ったのか……ノーブランドの怪しい黄緑色のジャージ姿。
どうして橋倉さんがジャージを着てくる必要がある?
そうこうしてる間に、おかまちゃんたちも合流して私達が陣取ってる保護者席は盛り上がり出す。
明らかに周りの雰囲気からは浮いていて、やたら目立ってる。
『皆様、9時になりましたので、只今より運動会を開催致します』
アナウンスが流れ、園児たちの行進が始まった。
9時……銀と怜香さんの結納も9時って言ってたな……」
あぁ~! また余計なこと考えてる。私には関係ないことだ。
必死で気持ちを切り替え、行進してくる華に拍手を送る。
そして、全員のダンスに始まり、大まりころがしに障害物競争と定番の競技が終わり、いよいよ、かけっこだ。
お行儀良く整列した園児たちの中に華の緊張した姿を見つけ、こっちまで緊張してきた。
華は一番最後のグループか……」
ドキドキしながら華が走るのを待ってると、今まで無表情だった華の顔がパッと明るくなった。
満面の笑みで手を振る華。でもそれは、私達に向けられた笑顔ではなかった。
「んっ?」
華の視線の方向に目をやると、そこには、ここに居るはずのない人物が華に手を振っていた……
「どうして……」