この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「アイツ、何しに来たんだ!」


横田さんが怒って飛び出そうとした。でも、ママが横田さんの前に立ちはだかり「行っちゃダメ!」と叫んだと思ったら、横田さんを力任せに突き飛ばす。


ママの巨体にタックルされ、細身の横田さんは3メートルほど吹っ飛ばされグッタリ。


「ダメよ! 邪魔しちゃダメ! 銀ちゃんに何か考えがあるのよ」

「……ママ」

「大丈夫。ミーメちゃんも銀ちゃんを信じなさい」


そんなこと言っても……


再び華に目をやると倒れたまま泣き出していた。


辺りはシーンと静まり返り、ここに居る全員の視線が銀と華に向けられてる。


「ハナコ! 立て!」

「うっ、うえぇーん。銀……さまぁ……」

「立って、ここまで来い!」

「痛いよぅ~立てないよぅ~」


更に激しく泣く華に向かって、銀は容赦なく怒鳴り続ける。


「あの約束を忘れたのか? 覚えてるなら、ここまで来るんだ!」


あの約束? なんのこと?


「でも、もうダメだもん。一等じゃなきゃ……華、ビリになっちゃったもん」

「ハナコ、お前はそんな根性の無いヤツだったのか? 負けてスネて、それでいいと思ってるのか?」


もう華は返事をすることも出来ず、泣きじゃくっていた。


静かな運動場に華の泣き声だけが響く……


「ハナコ……」

「うええぇ~ん……ああぁ~ん……」


もう我慢出来ない。これ以上、怪我してる華を放っとけないよ。


ママの手を振りほどき、華めがけて走り出した時だった……


「ハナコ! お前はそれでも俺の娘か? 俺の子なら、死ぬ気でここまで走って来い!」


えっ……銀、今、娘って……言った?


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