この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「けっけっけっ……こん?」

「そうだ。ハナコがかけっこで一等を取ったら、ミーメと結婚してやるって約束だったんだ」

「約束って、それ?」


華……あんなに一生懸命頑張ったのは、この為? そこまでして私と銀を……華ったら、なんて健気でいじらしいんだろう~


「だから結婚してやる。喜べ、ミーメ」


突然のプロポーズに、今まで水を打った様に静まり返っていた運動場がどよめき出す。


ハッとして辺りを見渡すと全員の視線が私たちに向けられていた。


ヤバッ、すっかり忘れてたけど、運動会の最中だったんだ。で、皆の前でキスしちゃった! 超恥ずかしんだけど~


真っ赤になって俯いていると、あの一言多い新人保育士とブランド好きのママ友が駆け寄って来る。


「ヤ~ン、華ちゃんママー、おめでとう! そして、有難う!」

「はぁ?」

「実はね、私たち賭けをしてたのよ。華ちゃんが保育園を卒園するまでに、華ちゃんママの結婚が決まったら700円って!」

「……何、それ?」


人の恋愛を賭けの対象にしてたなんて信じらんない。それに、掛け金が700円って……めっちゃ中途半端。


「私ひとりだけが結婚が決まる方に賭けたのよ。ありがと!」


ママ友が、ガッツポーズした腕を高らかに天に突き上げている横で、不服そうな顔をする新人保育士。


「あぁ~私は負けですぅ~もう! 神埼さんたら、余計なことを……」


なんで私がアンタに責められなきゃいけないの? なんてムッとしていたら、銀が不機嫌な顔で怒鳴る。


「おい、いい加減、返事しろ!」

「へっ?」

「この俺様が公衆の面前でプロポーズしてやったのに、いつまで待たせる気だ!」

「あ、そんなこと急に言われても……それに、銀には怜香さんが……今日は結納だったんでしょ?」

「ったく、つべこべ言わずに"はい"って答えりゃいいんだよ!」

「でも……」

「怜香と俺は、結納なんてしてねぇし、結婚もありえねぇんだよ」


怜香さんと結納してない? 結婚もしない?


「どういうこと? だって、副社長さんも銀が結婚するって……」

「はぁ~? 副社長? まさか、アイツに会ったのか?」


アイツって……副社長さんを"アイツ"呼ばわりかよ?


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