この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「あのぉ~お取り込み中申し訳ないんだけど、そろそろ運動会を再開させてもらっていいかしら?」

「園長先生……」

「それに、華ちゃんの怪我も早く治療しないと……」

「あ、はい。すみません」


運動場を占拠してた私達は隅に追いやられ、とりあえず華を保健室に連れて行こうと銀から華を受け取る。


「華の治療が終わったら、詳しい話し聞かせて?」

「あぁ」


怜香さんと銀のこと、今すぐにでも聞きたかったけど、今は華の方が大事だ。


華をギュッと抱きしめ園舎に向かおうとした私を、いつの間にか後ろに居た横田さんが引きとめた。


「華ちゃんは、僕が連れて行く」

「えっ、でも……」

「ミーメちゃんは、沢村さんと話しなさい」

「いいの?」


私と銀のこと、あんなに反対してたのに……


「あんな感動的な場面を見せられたら、もう何も言うことはないよ」


あらら、横田さん、また泣いてる。


「おいで、華ちゃん。おじいちゃんと保健室へ行こう」

「うん」


華を抱いて園舎に向かって歩いて行く横田さんの後姿が、なんだかとても寂しそうで胸が痛くなる。


ごめんね……そして、有難う。横田さん。


すると、軽快な音楽が流れ出し、園長先生のノリノリのアナウンスが運動場に響き渡る。


『次は、園児対おじいちゃんおばあちゃんによる玉入れ対決です! おじいちゃんおばあちゃんは運動場の真ん中にどうぞ!』


ゆっくり歩いて出てくるおばあちゃん達の中に、ひと際元気一杯飛び出して来る黄緑色の物体が……


ゲッ!橋倉さん……


「んっ? どうした?」

「う、うぅん、なんでもない。向こう行って話そう」


慌てて銀の手を取ると人気のない園舎の玄関に引っ張って行く。


橋倉さん、この為のジャージだったのか? 華が保健室に行ってて良かった。あんなおばあちゃん気取りの橋倉さんを見たら、華のことだ、絶対キレる。


危ない、危ない……


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