この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
運動場の歓声が微かに聞こえる誰も居ない園舎の玄関前。私と銀は並んで座り、どちらともなく肩を寄せ合う。
「話して、銀。私に何を隠してたの?」
「別に隠してたワケじゃない。言わなかっただけだ」
「それって、同じことだと思うんだけど……怜香さんのこと、ホントにいいの?」
「いいも悪いもない。怜香は俺の姉貴だ。結婚なんて出来る道理がない」
姉貴?
「ねぇ、今、姉貴って言った? 姉貴って、お姉さんってことだよ?」
「そうだ。他にどんな意味がある?」
私の脳みそが銀の言葉を理解し、反応するまで数秒掛かった。
「えぇーっ! うっそー! マジぃー!」
「さっさと驚け! 時間掛かり過ぎだ」
「て、ことは……銀が怜香さんの弟なら、副社長さんはお兄さんで、社長が、おとっつぁん?」
「そうだ」
「でも、苗字が違う」
「そりゃそーだ。親が離婚した時、俺だけは母親に引き取られて沢村姓になったからな。まだ親父の方の籍には入ってない。
それに、俺が社長の息子ってことはトップシークレット。そもそも、俺は身内の会社に勤める気はさらさら無かった。なのに、親父がどうしてもって言うから、仕方なく入ってやったんだ。
で、会社に入る代わりに、俺は条件を出した。俺が鳳来の人間だということは、社の連中には秘密にすること。もしバレたら、俺は会社を辞めるって親父に言ってあったからな」
「そうだったの。でもでもでも、銀に結婚話しがあるって副社長さんが言ってたよ」
「あぁ、アレか。確かに、取引銀行の頭取の孫娘との見合いの話しはあった。俺が結婚したい相手が居るって言ったら、義母が許さないって騒ぎ出して、自分が話しを進めてるその孫娘と結婚しろって言いやがった。
兄貴も怜香も、そんで親父も、どういうワケか義母の意見には逆らえねぇみたいでな。
家族全員に責め立てられ、ムカついたから義母に『うるせーババア!』って言ってやったら、親父が狂ったみたいに怒り出して離島に飛ばされた。暫く頭を冷やせってな」
それって、私のせいで離島に行ってたってこと?
「俺の結婚したい相手は社内に居るってことは言ってあった。だから、あんな姑息な手使ってミーメを俺から引き離そうとしたんだよ」
「あの怪メールのこと?」
「そうだ。あれは、義母と怜香のしわざだ」
「マジ?」