この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「ほら銀、桃ちゃんだよ。桃ちゃ~ん!」
厨房の中でポテトサラダをコネくり回してる桃ちゃんに手を振ると桃ちゃんも私に気付き、こっちに歩いて来る。
「まぁ~ミーメちゃん。随分、久しぶりだね~顔見せないから、会社をクビになったんじゃないかと心配してたんだよ」
「ごめんね~それより桃ちゃん、この人覚えてるでしょ?」
そう言って銀を指差すと「あら! そっくりさんじゃない」と冷めた視線を銀に向ける。
「桃ちゃんか?」
銀がビックリした顔して桃ちゃんの顔を覗き込み、感極まったのか、熱い抱擁。
驚いた桃ちゃんが「えっ、もしかして……ホンモノ?」って、私を見る。
「そうだよ。この人はそっくりさんじゃなくて、ホンモノの銀だよ」
「そうなの? 銀ちゃんなの? まぁ~こんなに立派になっちゃって~」
嬉しそうに目頭を押さえる桃ちゃん。と思ったら、突然「あっ!」と大声を上げる。
「どうしたの?」
「それがさ~私、1週間前に引越したんだけど……荷物の整理してたら、こんなモノが出てきて……」
エプロンのポケットから取り出したのは、丸い紙のコースター。
「ミーメちゃんに渡そうと持ってたんだけど、ミーメちゃんたら、ちっともここに来ないから渡しそびれちゃって……」
バツが悪そうに銀をチラ見する桃ちゃん。
「なんなの? これ」
桃ちゃんの手からコースターを受け取ろうとした私を銀が突き飛ばす。
「うぎゃ!」
私が転びそうになってるのに、銀はコースターを手に取り呆然としてる。
「桃ちゃん、これは……」
「あぁぁ……銀ちゃん、ごめんね。ミーメちゃんには渡せなかったんだよ。だって、次の日にミーメちゃんはスーパー辞めちゃって、連絡もつかなくて……それっきりだったから」
「じゃあ、ミーメは何も知らなかったのか?」
「そうだわね~」
「マジ……かよ」
ハテ? このふたり、なんの話ししてるんだろう?