この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「じゃあ、そう言うことだから……銀ちゃん宜しく~」
何事も無かった様に仕事に戻って行く桃ちゃん。それを呆然と見送る銀。
「ねぇ、なんの話ししてたの?」
ワケが分からなくて、銀の体を揺すると彼が力無い声で「座れ……」と呟いた。
誰も座ってない隅っこのテーブルに腰を下ろすと、銀が大きなため息を漏らす。
「あの日……7年前のことだ」
7年前? それって、まさか……
「俺は就職も住む場所も決まり、ミーメを迎えにバイトしてたスーパーに行ったんだ……」
「えっ? 迎えに……って?」
「俺がお前のボロアパートを出る時、約束したろ? 落ち着いたら迎えに来るって……
だから、ようやく生活のメドがついたあの日、スーパーに行ったら、お前は休みで居なかった。
仕方なくアパートに行こうしたら、桃ちゃんに呼び止められて飲みに行こうと誘われた。久しぶりに会ったのに冷たいとか言われて、軽い気持ちで付き合ったら、夜中になっちまって……
俺も大分酔ってたから、桃ちゃんに俺の住所と携帯の番号をこのコースターに書いて渡した。ミーメに渡してくれって言ってな」
「それ、ホントなの? 私、そんなの貰ってない」
「当たり前だ。ここにあるんだからな」
銀はテーブルの上のコースターをそっと滑らせ、私の前に置く。
セピア色に変色したコースターには、色あせた文字で綴られた住所と携帯番号が書かれていた。
「俺はてっきり、ミーメは桃ちゃんからコレを受け取ってると思ってた。だからあの夜、ミーメがマンションに来たんだと思ったんだ」
「えっ……」
「なのに、朝になったらお前は居なくて……」
「ちょっ、ちょっと待って! 銀は、私がマンションに行ったこと知ってたの?」
「知ってるもなにも……シただろ?」
「私だって分かっててシたの?」
「バカかお前は? いくら酔ってても、誰を抱いてるかくらい分かるだろ?」
うそ……
「私、銀は他の女の人と勘違いして私を抱いたんだと思ってた……て、あれ?
怜香さんの名前を寝言で言ったから、相手は怜香さんだと思ってたけど、銀と怜香さんは姉弟だから、それはありえないんだ……」
「なに一人で納得してんだ。あの部屋は怜香が使ってた部屋で、引っ越すって言うから俺が譲り受けたんだ。
引っ越すまでの数ヶ月間、一緒に住んでたけどな。それがなんか問題あんのかよ?」
私は勝手に誤解してた。怜香さんの部屋だったから、女の匂いがプンプンしてたんだ。
ーーそして、銀が私を抱いた後に言った一言……
"早かったな"あれは、桃ちゃんにあのコースターを渡された私が、思いの他早く来たと思ったから出た言葉?
だから銀はあんなこと言ったんだ。
全ての事が綺麗に繋がった。
まさか……そんなことって……