この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「ふふふ……完璧に変装したつもりだろぅが、私の目は誤魔化せないよ!」
「ごまか……す?」
「そうだよ。白々しく作業着なんか着ちゃって、おっちゃんは植木屋なんかじゃないだろ?」
「え、あぁ、まぁ……」
「おっちゃんの正体は……産業スパイだね?」
「はぁ?」
この期に及んで、まだしらばっくれる気か?
「あ、悪いが、その手……離してくれないかね?」
おっちゃんが私の手を振り解こうとしてる。
させるか!
「うりゃ~」
私はおっちゃんの体を反転させると足を取り、四の字固めに持っていく。
「うぎゃー!!」
おっちゃんの情けない悲鳴が、お上品な庭にこだまする。
「白状しろ! 私に近づいたのも、会社の内情を探る為だったんだろ?なのに、あれ以来連絡してこないって……私をバカにしてんの?」
「バ、バカになんてしてないよー」
「嘘つけ!」
更に足を強く締め上げてやると、おっちゃんは半泣きでヒーヒー言い出す。
「うりゃ !うりゃ! 早く白状しないと足が折れるよ」
「ぎぇぇぇー!」
さすが鍛えられたスパイだ。すぐには口を割りそうに無い。もっと痛い目に合わさないとダメか……
なんてことを考えていたら、背後から声がした。
「おい、何やってる?」
振り返ると銀が不思議そうな顔をして突っ立ってた。
「銀、見て! ほら、コイツ、前に話した産業スパイだよ」
「産業スパイ?」
「そう! 植木屋のフリして、この家に潜り込んでた。早く警察に電話してよ」
「そうか、その前に……」
「その前に? 何?」
「ミーメのその勇ましい姿を写メに撮らしてくれ」
「はぁ? 写メ?」
銀は落ち着きはらって私に携帯を向ける。
そうか……証拠写真か……
「撮るぞー」
「おう!」
カシャッ……
思わず得意顔でピースしてしまった。