この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「おとう……さま?」
デッかいハンマーで殴られた様な衝撃。頭が真っ白にるとは、正しく、このことだ。
おっちゃんが……お父様?
足がガクガク震え出し、立っていられない。堪らずその場に座り込んでしまった。
「……でも、名前が違う」
そう言って、疑惑の目でおっちゃんを見つめると足を摩りながらおっちゃんが苦笑いを浮かべる。
「"轟"と言う名前は、偽名だよ。鳳来の名前を出すと色々面倒なことがあってね。プライベートで行く店では"轟"と名乗ってるんだ」
「そんな……」
「美衣芽ちゃんを騙すつもりは無かったんだよ。すまない」
何をどうしていいのか分からず、ただ、黙って視線を落とすと銀が私の手を強く握り締めた。
「親父、俺とミーメのこと、許してくれ」
すると、おっちゃん……もとい。社長さんは、沈んだ声で話し出す。
「美衣芽ちゃんが、銀の結婚したい相手だったとはな……私だって、美衣芽ちゃんのことは大好きだよ。明るくて素直で……でも、結婚となると、ちょっと……」
「そうよ! こんな乱暴な人、鳳来家には向いてないわ。銀之丞には、もっとお上品な女性がお似合いよ」
怜香さんが間髪入れず怒鳴り散らす。
「残念だか、もう反対しても遅い。昨日、婚姻届を提出してきた。俺とミーメは、既に夫婦だ」
「な、なんだと?」
「銀之丞……本当なの?」
ふたりは呆然としていたが、すぐに怜香さんが凄い形相で掴み掛かってきた。
「冗談じゃないわ! アナタ、なんてことしてくれたの」
「怜香よせ! 決めたのは俺だ。ミーメは悪くない」
「こんな女のどこがいいの? 銀之丞、後悔するわよ……」
「……しねぇよ」
銀と怜香さんが睨み合う。一触即発。ヤバい雰囲気だ。
しかし、そんなピリピリした空気をブッ壊したのは……突然、聞こえてきたおばちゃんの声だった。
「あのぉ~皆様、奥様がお帰りになりまして、そろそろパーティーを始めるとおっしゃってますが~」
なんだ……お手伝いさんか。それより、とうとう奥さんと対面だ。ヤバい。マジ緊張してきた。