この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「ここは寒い。とにかく、中に入ろう」
社長さんの一言で一時休戦。ゾロゾロと家に向かって歩き出す。最後尾を歩く私と銀は、お互いの手を強く握り、覚悟を確かめ合っていた。
お手伝いさんが開けたドアの向こうは、大きなリビング。さっきの部屋も凄かったけど、こっちもど凄い。
クリスマスにはピッタリのレンガで出来た暖炉があったり、その横には天井に届きそうな、これまたデカくて派手な本物のもみの木のツリー。
そして、テーブルに用意されている美味しそうな山盛りの料理。ど真ん中に陣取っているのは、テカテカに光ってる鳥の丸焼き。もしかして、あれは鶏さんじゃなく、お約束の七面鳥?
すっかり料理に魅せられ、生唾を飲み込む私に向かって銀が小声で怒鳴る。
「ミーメ、ヨダレふけ!」
「あ……ジュル……」
残念ながら、ここに居る人達は呑気に料理を見て浮かれてる人は私以外、誰も居ない。全員が難しい顔して眉間にシワを寄せている。
社長さんは、ソファーに座って頭を抱えてるし、怜香さんはお手伝いさんに「ねぇ、お母様は? お兄さんはまだなの?」とイライラしながら聞いている。
「あ、奥様はお着替え中でして……金乃丞様は、先ほど裏庭の方へ、もうそろそろお見えにるかと……」
金之丞? それってもしかして、副社長さんの名前? 兄が"金"で弟が"銀"? 漫才コンビかよ?
「ぷぷっ……」
突然私が吹き出したものだから、銀が怪訝な顔でこっちを見る。
「何がおかしい?」
「だって、金って……絶対、銀の方がいいよ。金は、ありえねぇ~」
「バカ! それは禁句だ! 兄貴の前で名前のことは言うなよ」
なるほど……本人も嫌なんだ。なんて納得していると、その本人が現れた。