かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「みんな、火は持ったな? それじゃあ、一斉につけるぞ、せーのっ……!」
ハルが合図を出す中、シュシュシュシュと導火線に火がつき、小気味いい音を立てる。
やがてヒューと花火が上がっていき、あたしたちが見上げる空には色とりどりの花が咲いた。
「わぁあ、やっぱり綺麗……」
夜の暗さに映える花火を眺め、感嘆をもらしながら、そういえば、去年の夏は花火大会に行けなかったんだよなぁ……と思い出す。
いよいよ本当に進路を決めなければならないときで、去年だけは、どうしても都合がつけられずに民宿を手伝うことができなかったのだ。
お母さんは全面的に応援してくれ、「菜月が進みたい方向に進路を決めてくれたら、お母さんはそれで満足よ」と言ってくれたのだけれど、お父さんとはそういうわけにもいかず、散々もめたなぁ……と、苦笑いを噛み殺す。
「今日は“あの日”だからな」
すると、いつの間にか、あたしの隣に来ていたらしい間宮さんが、同じように空に咲く花火を見上げながら、そう呟いた。
“あの日”ーーそう……。
「そうですね、みなさんの月命日ですもんね。ハルたちもいて、今日はなんだか賑やかです」