俺様編集者に翻弄されています!

Chapter3

 眠らぬ街、新宿歌舞伎町―――。


 若者の喧騒を聞き流しながら、氷室はひとり入り組んだ路地に入って、とある雑居ビルに入っていった。


 LOVE STICK


 それがこの店の名前だった。


 馴染みの店だったが、日本を離れている間にすっかりご無沙汰になってしまった。氷室は入口の前に立ち、店の立て看板を見ながら小さくため息をついていたが、口元には笑みを浮かべていた。


 相変わらず趣味の悪い名前だと思いながら、氷室は入口のドアを開けた。

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