俺様編集者に翻弄されています!
「っ!?」

 身体がびくりと跳ねると妄想の世界から我に返る。

目の前には間抜けた顔を映した鏡がある。


(また妄想に耽ってしまった……しかもなんか、氷室さん風だったし!)


 悠里の妄想には物腰柔らかい口調の執事が出てくる。けれど、今回はなんだかオレ様風だった。心のどこかで氷室のことを考えていたからかもしれないと、一瞬思ったが悠里は首を振って全面否定した。


 ふと時計を見るとすでに十二時。

 悠里はとある場所へ出かける予定にしていた。そして、先ほどその帰りに出版社に寄る用事ができた。けれど、氷室に会えるかどうかはわからなかった。先ほどの電話で、氷室に会えないとわかると、なぜか気持ちが沈んでしまった。

(あぁ、もう! 考えるのやめよう! 出かける支度しなきゃ)

 悠里は気を取り直してもう一度雑誌に目をやり、勇んでメイク道具を取りだした―――。


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