俺様編集者に翻弄されています!
「あぁ、武藤いたいた! あ、ユーリ先生もご一緒でしたか、お世話になっております」


「あ、はぁ……こちらこそ」


 息を切らせながらカフェテリアに入ってきたのは加奈の上司、北村編集長だった。


「その、言っておかなきゃならんことがあってだな……」


「どうしたんですか?」


 北村は頭を掻きながらどうしたものかと腕を組んでいる。


「氷室さん、来週帰国のはずが急に明日に予定変更になってさ」


「ええっ!? な、なんでですか急に」


 加奈が驚いて思わず椅子から立ち上がると、北村はまぁまぁと肩を押して宥めた。


「あぁ~ユーリ先生はお気遣いなく、そのままゆ~っくりしててください、武藤……ちょっと」


「……はい」


 北村の語尾が下がると同時に、加奈のテンションも下がる。

 しばらくカフェテリアの隅でゴソゴソと二人で話し合っていたが、悠里には全く聞こえなかった。

 時折加奈がへらっと笑ってこちらを見ていたが、よからぬ相談をしていることくらいなんとなく想像がついた。


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