俺様編集者に翻弄されています!
「さま? ……お客さま??」


「だぁぁ! なんて、ことになったら私……どどど、どうし――はっ!?」


「……」


 悠里はシートに爪を立てながら人知れず妄想に耽っていると、スチュワーデスが機内食を持ったまま目を点にして悠里を見ていた。


「チ、チキンプリーズ……すみません」


 気が高ぶっていて食欲はなかったが、とりあえず何か口にしなければと悠里は食事の乗ったトレーを受け取った。



(恥ずかしい……! なんでこんな時に妄想なんて……)




「ふふ、君、さっきから面白いね」


「え……?」


 ふと声をかけられて、悠里は初めて隣りの席に目をやった。

 英字新聞から顔をあげて覗かせた顔と目があった瞬間、悠里の体内の血液が一気に沸騰して頭の火山が爆発した。


(な、なに!? このイケメンビジネスマンは!)



「すみません、急に声かけたりして、私はロディといいます」



 白い歯をのぞがせてにこりと笑うと、まるで歯磨きのCMに出てきそうな爽やか紳士だった。日本語を流暢に話してはいるが、外見は西洋人の血が混ざってそうな彫りの深い顔立ちをしていた。



「君の表情がさっきからころころ変わって新聞読むより面白くてつい……あ、すみません……こんないい方したら失礼ですね、ニューヨークのどちらへ行かれるんですか?」


 ロディは優雅にコーヒーを飲みながら悠里に目配せした。


「えっと……すみません、私……よくわからないんです」


「え……?」


「ただ人探しのために必死になって、何も考えずに飛行機乗っちゃったっていうか」


 冷静に考えたらあまりにも大人気ない行動だ。


 改めてそう思ってもじもじしていると、急にロディが声を立てて笑い出した。



「あはは、あぁ失礼。いや、なんとなく小説みたいなシナリオだと思って。いいですね、そういうの」


「は、はぁ……」


(小説のシナリオ……か)


 そして悠里は気さくに話しかけてくるロディと、いつの間にか打ち解けて話し込んでいた―――。
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