俺様編集者に翻弄されています!

Chapter3

『だぁから言ったじゃない、それは自業自得だよ』


 悠里は行きつけのコンビニで大量のスナック菓子と、夕食のたらこスパゲティを買い込んで家に着くと、無意識に加奈に電話をかけていた。

けれど、加奈は同情しかねるといった様子で、悠里の愚痴をただ聞いていた。



「そんなこと言ったって、わざわざ書いたプロットをびりびりにされたんだよぅ」


 誰かに慰めの言葉と同情の言葉をかけてもらいたいなんて子供みたいだと思いつつ、つい旧友に甘えてしまう。


『だから氷室さんは仕事に厳しい人だって、あれだけ言ったでしょ? あまりにも相性が合わなすぎて作家さんの方がギブアップしちゃうくらいなんだから、あんた早速ギブアップしたいわけ?』


「それだけはやだ」


『だったらうじうじ言ってないで頑張んなさい』


「うん、そうだよね……」

 まるで母親のように諭す加奈の口調に、悠里は諦めるようにため息をついた。
< 61 / 340 >

この作品をシェア

pagetop