俺様編集者に翻弄されています!
 確かに氷室は厳しくて言葉も辛辣なところがある。

けれど、いくら嫌でも担当を変えて欲しいなどと今まで言ったことはなかった。

その加奈の口調の中に、逃げるのが嫌なら耐えろ、という意図がなんとなく窺えた。


「あ、そうだ明日、氷室さんと出かけることになった」

 突然、思い出したように話を変える悠里に、加奈は素っ頓狂な声を出して驚いた。


『……は? えええっ!?』

「うわっ」


 悠里は加奈の大きな声に、思わず耳から携帯を引き剥がした。


『な、なにそれ!? あの氷室さんが? だって、明日は休日だよ? 休日に人に会うのあの人!?』


 一体加奈は氷室のことをどこまで知っているのだろう。 悠里はそう思いながらベッドに腰を下ろした。
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