【完】ヒミツの恋を君と。
「……っ!そんなの、仕方ないことでしょ?人の気持ちなんだから!あたしには魅力がなかったってことだよ」





そう、晴の気持ちが、誰に向かおうと、あたしは何も言えない。


そんなの裏切りとは言わない。




《桃佳ちゃんは都合のいい女だわ。ホント》




もうやめてよ。胸が痛いよ。





《ねぇ、話したいことあるんだけど今から出ておいでよ》


「無理です…門限があるので」





そんなあたしの言葉に、祐樹先輩が鼻で笑った。




《嘘下手だね。一人暮らしでしょ?》


「……」




この人、あたしのこと、あたしと晴のことどこまで知ってるの?


すべてを見られてた様な気がして、ゾクッとした。




《来た方が、桃佳ちゃんのためだと思うよ。来なかったり、晴に言ったりしたら、晴と一緒に全部終わらせてあげるからね》


「晴?晴に何する気?終わらせるってどういう……?」


《桃佳ちゃんちの近くの公園の前にあるポストの所にいるから……》





それだけ言って、電話は切れた。


もう一度、祐樹先輩の携帯に掛けなおしても、《ただ今お掛けになった電話番号は……》と機械のアナウンスが流れるだけ。



また、晴に何かする気?

許せない、絶対に許さない!


怖くて震える体を深呼吸で押さえて、あたしは家を飛び出した。


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