【完】ヒミツの恋を君と。
「桃佳が、俺の名前に反応したように、俺もお前の名前を初めて聞いた時ものすごくびっくりしたんだよ」


「あたしの名前?」


「そう、“よしおかももか”って名前」





あたしと同じ様に、晴もあたしの名前に驚いてた?





「俺、生まれてから3回苗字変わってんだよな」





晴が柔らかい声でそう言った。

それは以前聞いた晴の過去。





「1回目は生まれた時の苗字、2回目は姉さんの家の苗字、3回目は河野」


「うん…」





それは晴の複雑な家の事情を表してて、胸が締め付けられる。

でも今日の晴は、以前に過去の話をしてくれた時よりも、声の感じが穏やかに思えた。





「姉さんの家の苗字は“吉岡”っていうんだ」


「あっ!一緒だ!」


「字は違うけど、読みは一緒。で、生まれてから父親に捨てられるまでの名前は…」


「うん」


「“百”に“家”で百家(ももか)だった」


「え、ももか!?」


「珍しい苗字だけど、父親の生まれたところでは結構よくある苗字らしいんだ」





よしおか?ももか?


晴は河野になる前は、百家晴(ももかはる)で、吉岡晴(よしおかはる)だったってこと?



あまりの偶然に驚きすぎて声が出ない。

きっと晴は最初もっとびっくりしたんじゃないかな?



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