【完】ヒミツの恋を君と。
「お前を見てたら、不思議と俺の過去までも、真っ直ぐで綺麗なものに見えてきた」


「晴…」


「あんなバカな親に育てられたけど、辛いことばっかりじゃなかった。そう思えたら、実の母親が言ってたことをひとつ思い出したんだ」


「?」


「俺の“晴”って名前、父親と母親が何度も相談して決めたって言ってた。2人とも気に入った名前がこれだったんだって」





晴が確かに愛されてたことを教えてくれる過去。





「幸せなことだってあったんだって。そんなことを思い出させてくれたのは、お前だよ」





晴の過去の幸せは、あたしの胸も熱くさせる。





「だから、お前と一緒に未来を見たいって思ったんだ。桃佳、お前が手を差し伸べてくれたんだ」


「晴…」


「ありがとう…だからお前のこと、俺の人生に巻き込んでもいいか?」



あたしと晴を秋の風が包む。

出会った頃は、春だったのに、いつの間にか春も夏も秋も一緒にいた。


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