【完】ヒミツの恋を君と。
弾みで眼鏡が、床に転がる。



「あぁっ!?眼鏡がっ!」



コンクリートの床に落ちれば、眼鏡はきっと傷だらけ。


叫んで、それを拾い上げようとしたあたしの体を、晴がもっと強く抱きしめた。



「晴?」


「あれはもういらねぇよ」


「え…」


「心配すんな。周りがどんな反応しても、俺はお前しかいらないから。それだけじゃ駄目か?」



駄目なはずがない。


そんな幸せすぎる言葉に、クラクラと眩暈を感じそうになる。


晴はずるいな…。

そんな風に言われてこんな風に抱きしめられたら、もうそれ以上何も言えなくなるじゃない。



落ち着きを取り戻せば、晴の匂いに包まれてる今の状況を感じて。



胸が落ち着かなくなるのに、満たされる不思議な感覚を覚えた。



「それに、眼鏡なんか掛けてたら、キスの邪魔になるだろ?」


「えっ!?キス?」


「うん、キス。眼鏡があったらキスしにくかっただろ?」


「え?」


< 493 / 499 >

この作品をシェア

pagetop