忘れ去られたキオク



俺の隣でしゃがんで、尚も俺の看病をしてくる椎菜の頭を抱き締めた。



「ちょ...っ!! エ、ルネスト!!」



「...」



「やめて!!」




そう言って、椎菜は俺の手を振り払った。


自分でも、自分の行動が分からない。


...なんで抱き締めたりしたんだ。



「いくらエルネストでも怒るよ?
あたしには翔平がいるんだから!!」



隣では椎菜が顔を真っ赤にさせて怒っている。




──あぁ、世界が回る。


頭が痛い。


耳がガンガンする。



そして、俺はまた気を失った。




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