LOOOOP
「よしっ、終わりっ…」
パソコンの電源を切り、長時間丸めていた背中をぐっと伸ばした。
肩に溜まっていた鉛のようなものが、すっとどこかへ落ちて行く。
「はい、お疲れさん」…
言ってくれる人など居ないと分かっているからこそ、自分自身にこの言葉をプレゼント。
でも。…
なんかこんなの、独身丸出しで。
「だっせー。…」
少しネクタイを緩めながら溜息をついていると、それを見ていた篠原が腕を組みながら口を開いた。
「…で?結城。今日は何の気分?いつも通り焼酎?たまにはワインとか?」
「いや、今日はビールだな」
「はっ⁈ビール⁈」
篠原の目が、一瞬見開いた。
「…んだよ、文句あるかよ。お前好きだろ、ビール」
「いや、まぁ私は好きだけど…。結城がビールだなんて珍しいかと思って」
「まぁな」
基本、俺は焼酎が好きだから、ビールを飲む機会などなかなかない。
強いて言えば、会社の飲み会で、最初に一杯に飲む程度か。…
篠原の言う通り、決して自ら好んで飲む酒ではない。
「なんかあったの?」
なんだか腑に落ちない、といった表情を浮かべた篠原は、まるで俺を、この世の異物であるかのようにジロジロと眺めている。
「別に、理由なんてねーよ。まぁ色々、スカッとしてーこともあるし、な…」
「色々…?」