《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』

女の私が言うのもなんだが、女ってのは不思議だ。


『好きだ』と言われれば、例えそれが鼻持ちならなかった男からの言葉であっても多少なりとも嬉しかったりする。

仕事中でも、トイレの中でも、何か食べている時でも、テレビを見ている時もちょっとしたスキマ時間に三浦のことをいつの間にか考えていたりする。

ぶんぶんと頭を振ってみても、気がつくと三浦の『あんたが好き』の声が聞こえてくる。
幻聴だとすれば、何かの病気かもしれない。

病気だとしても仕方がない。

私の意思に反して私の頭には不定期に前触れもなく、三浦の顔が断片的に浮かんでくるのだから。




居酒屋で遅れてきた三浦を見上げた時、かなりのイケメンっぷりに驚いたっけ。身近に、あそこまでのイケメンっていなかったから。

コンビニで五目焼きそばを取りあった時の必死な三浦の顔。あれには、笑えた。

ラーメン屋で、とんこつラーメンのスープをレンゲですくって飲んだ三浦の固まった顔。イケメンが台無しになる位のまずい表情だった。


タワーマンションで皿洗いをする前に、エプロンをつけてくれた三浦。間近で見た異常に整った顔。
あれには……正直焦ったな。キス出来るくらい近距離だったと思う。


赤い顔にスカした顔。手の甲を口に当てて笑いをかみ殺した顔。

いろんな三浦の表情をふいに思い出しては、あまりにも多くの時間、やけに三浦のことを考えている自分に驚いてしまう。


なんなんだろう、私。

三浦のことを完全に意識しているみたいだ。

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