《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
コンビニやカフェで偶然に連続して会ったりしたのに、今は、三浦をちらっとでも見かけることが無くなっていた。
あいつ、いったいなんなの!
思わせぶりに言うだけ言って、その後は放置するってどういうこと?
まるで袋にも入れてもらえず、ラップもせずに平たいお皿の上に放置されパサパサになった食パンみたいだ。
いつかは食べるのか、袋から出したくせに時間が経ってパサパサになったもんだから、やっぱり食べるのは止めたと、のたまうつもりなのか。
それとも色々と面倒そうだから、そのまま放置するつもりなのか?
三浦は、パサパサパンに成り下がった私を、お皿に出したことさえ忘れてしまうつもりなのだろうか。
確かに三浦に告白されて私は『別に』と言った。考えてみれば年上でしがないOLのくせに、とてつも無く偉そうな返事だったように思える。もっと、ましな答えが沢山あったようにも思う。
いや、その前にやっぱり、告白自体が冗談だったとか?
あー本気でむかつく!
いろんな意味で気になって仕方がない三浦の事を、なんとか気にせずに忘れようと努力した。
仕事中は、まだマシだった。集中しようとすればいくらでも集中できた。
通勤途中の間は、ろくでもないことを考える時間がないように、電車内ではスマホで小説を読んだり、人間観察をして時間を費やした。歩いている時は、頭の中で足し算を永遠にしてみたり、一人しりとりをし始めた……とにかく何かに集中しようと精一杯頑張った。
電車から沢山の人と一緒に吐き出された私。大きく吐いた溜息と共に本当は大声で叫びたかった。
無理だぁ!!
私の 頭の中にいる小さな三浦の分身が、私の了解も得ず、日に日に多く育ってきていた。
会社に行くなり頭を抱えていた私に万里が「はい、先輩」と差し出してくれた鎮痛薬の錠剤。すぐに効きますよ〜との可愛らしい笑顔付きだった。
「ありがとう」
掌で握りしめたシートに入っている二つの錠剤。
これを飲んだら、頭の中のモヤモヤと一緒に三浦の分身も跡形もなくどこかへ消えてくれるだろうか?