《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
万里のお勧めである渋谷のカフェバーは、ハワイアンな雰囲気の漂う明るめの店だった。
店内もハイビスカスの造花やらモンステラの大きな葉っぱサーフボードまで飾られていた。
桜の季節を通り越して、もう夏ね。
微笑んで万里とテーブルについた。
白いパイピングが施されたテーラードジャケットを脱ぎながら、万里が聞いてきた。
「その後、どうなんですか? 彼と」
「彼って?」
椅子の下に用意されている籐の籠にバッグとストールを入れて座る。
「とぼけなくてもいいですよ。合コンの時の幹事に聞きましたよ。付き合ってるって」
「はい?」
「三浦さんのろけてるらしいですよー。
二人の時は先輩の声が違うって。あま〜い声を出すって」
万里は、わざとらしくにやにやしている。
あいつ、一体何を言いふらしてんだろ。付き合ってないし、甘い声なんか出してないし。
あれから連絡もしてこないくせに、信じられないほどの嘘つきだ。