《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
かなり笑いそうになりながら電話を切って、本物に似せて作られている木の影から出ようと動き出した。


出ようとした所に立ちはだかる人がいた。

「あ、ごめんなさい」

ぶつかりそうになったので、咄嗟にあやまりぺこりと頭を下げた。


下げた頭を上げて私は、まだ立ちはだかる人の顔を見た。
「うそっ!」
驚いて口をおさえる。

うわっち! やだ! 三浦だよ。


私の目の前にあの職人三浦が腕組みして立っている。

三浦は、じりじりと私との距離を縮めてくる。

「さっき電話切られたから、今続き言うよ。明日あんたをうちに来させる理由ならあるよ」

理由? そんなのある訳がない。

目の前にいた三浦の瞳が、私を射るようにみつめてくる。

「俺があんたに会いたいから」



三浦の左手が私の髪に触れた。指を髪の毛にからめてじっと私の目を見つめる。

三浦の右手が私の頬に触れる。

明るいハワイアンソングが、ウクレレの音中心の静かな曲調に変化していった。


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