《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』

挟まった三浦の足が動きそうにないので、更にドアの隙間を狭めてみようと少し閉めてみた。

「いててててっ! やめっ」
苦痛に顔をゆがめる三浦。

やっぱり痛いんだ。痛いなら引っ込めればいいのに。

結構痛そうなので、ドアを少し開くと待ってましたとばかりに自分の体を滑り込ませてこようとする三浦。

今度は、隙間に手の指先から肩まで無理に入れてきた。



「で? あんた、うちまで何しにきたの?」

「うっ、狭っ! 会いたいから」
三浦の手がドアノブを掴む私の手を上から覆う。

掴まれた! これが新聞屋だったらと思うと、ぞっとするシュチュエーションだ。



「会うだけじゃたりない!」
強硬手段に出てきた三浦は力任せにドアをガッと開け、玄関内に入ってきた。


「ちょっと! 入ってこないでよ!」


三浦の長い手がぎゅんと伸びてくる。

あっという間に私の腰に手がまわり、ぎゅっと抱き寄せられていた。




いったいなんでよ……。

三浦の胸に顔が押し付けられるほどの、強いハグに息が詰まりそうだ。



昨日も今日も私は何故三浦に、こうやって抱きしめられてるんだろう。


玄関の中でハグされている間に、三浦の後ろでパタンと締まったドア。

三浦のマンションとは違って、狭い玄関内でのハグは、窮屈で密着度が高い。
少し肩を後ろへ押されたら倒れてしまいそうだ。



「あがっていい?」
黙りこむ私の耳元でねだるように囁く三浦。思わず耳がこそばゆくなる。肩を上げて耳を隠そうとしてみる。


「……だめに決まってる」
腕をむずむずと動かしてみる。

「そう言われると余計に上がりたい」

駄々っ子みたいに言われて、これだから年下は……ってため息をついた。
「上がらせない! 絶対に無理!」


私の耳元でこれみよがしに溜息をついた三浦。

「……好きなんだ。だから……
真澄さん、あがっていい?」


ここで言うんだ? 

真澄さんだって……。


真澄さんって呼び方合コン以来だ。あんたって呼んでたくせに。よりによって今この場面で、改めて告白して名前呼ぶとかって、かなりズルイ。

その言葉を聞いて、プシューっと水に浮かべていた浮き輪から空気が出て行くみたいに、三浦のハグに抵抗していた私の体からだんだんと力が抜けていくのを感じていた。
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