《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』


「それまでひと目ぼれっていうのとかあると思わなかったし、自分から先に女に好意を持つ事って無かったんだよね、俺。でもさ、その女を見て、こう……」

真っ赤な顔して私に必死に訴えてくる三浦に、私の顔まで同化するみたいに熱くなってきた。


「胸がズキュンってきた」
そんな漫画みたいな台詞を実際に耳にする日がくるなんて思いもしなかった。


「その人が格別に綺麗って訳じゃなかったんだ。朝の光を受けながら桜を見上げる姿が凄く俺の目を引いたってだけ、それだけの事」

三浦の言っていることが、だんだん理解できてきていた。

玄関が狭いせいでしだいに場の温度が上昇する。

春みたいに温暖になって突如玄関に、太い桜の木が現れたように思えてきた。


満開に咲いた桜の木。
その下でお互いの顔をじっくりと見つめあう。


「でも、俺って結構シャイだからさあ、いいなって思っても結局、話しかけらんなくて」
三浦は私の顔を真っ直ぐに見ている。



桜の花びらが一枚、ひらりひらりと高い枝から舞い落ちてゆく。



「あの日出会った女に一年くらいたってから、偶然に合コンで出会えたことを運命だなって素直に思えたんだ。これを逃したら、絶対に後悔するって」


2ブロックに分けた三浦の髪に舞い落ちてきた花びらが一枚ついた。


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