《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
万里は、メニューを眺めている三浦さんの肩をトントンと突いた。
「はじめまして、加藤万里で〜す。この人は先輩の中川真澄さんです」
と自己紹介をする。
はにかんだように笑い三浦さんは頭をぺこりと下げた。
「三浦俊也(みうら しゅんや)です。よろしくお願いします」
「イケメンですよねー、モテるでしょー」
思っていることをすぐ口に出すのが万里だ。
見た通りのイケメンだから三浦さんは、黙っていてもモテるに決まってる。聞くだけヤボというものだ。
「まあ〜まあ〜ですよ。僕、結構人見知りするんですよね」
人見知りでなければ、もっとモテていると言いたいんだろうか?
でも、彼が人見知りな風に私には見えない。本当の人見知りならば入ってきてすぐに知らない人に話しかけたりしないものだと思う。ましてや狭そうな私の隣に無理やり座ってきたりしないだろう。
彼は何故自分を人見知りだと言うのだろう。
やけに頬を赤らめている店員さんが来ておしぼりを三浦さんへうやうやしく渡した。イケメンに対する店員さんの態度は、明らかにテンパッてみえる。
「真澄さんは、モスコミュールでしたよね?」
三浦さんが私の名前を覚えてくれた上に親しげに呼んでくれたことに結構、いや、かなりビックリしていた。
「え、あっ、はい」
「それと、生ビールでお願いします」
笑顔でオーダーをし終えた三浦さん。
どこが人見知りなんだか。人なれしてるじゃん。初対面の女を来たばっかりで親しげに名前呼ぶなんて……。
「ねえねえ、万里ちゃんさー」
向かい側にいた吉田さんが、いつの間にか私と万里の間にグラスを持って割り込んできた。