《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「シャツ! 俺のシャツ取りに行っていいだろ? 今日の帰りに」
いたずらでも思いついた子供みたいに急に、はしゃいだ顔になった。
そんなに来たいんだ、我が家に。
「いいけど。シャツ渡すだけね」
「え? ああ、うん。もちろん」
そうは言っても、また甘い期待をしていた。
去年から私にひと目ぼれして好きだった。合コンでの偶然な出会いには運命を感じたって上手いことを散々言われたはずだ。
でも、それ以来メールでも『好き』だとか『逢いたい』とか私が期待しているような言葉を一度も言われていない。
ただ、私の家には来たいようだ。
それって、どういう事だろう?
なんだかんだ言って結局、体めあてなだけ?
いや、目当てにされるような体も持ち合わせていない。
メニューを眺めていた三浦くんが顔を上げてバナナの木に視線を向けた。
「少し前にさー、あのバナナの木のあたりでさ、覚えてる?」
覚えていないわけが無かった。