《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「ついた」
「え? ここ?」
スクランブル交差点の前。沢山の人が信号待ちをしている。
上京して、初めてここに来た時はまだ20代前半だった。
さすが都会を代表する渋谷の街。
あれだけ有名なハチ公は、意外に小さく、その周りには柵があるわけでもないどうでもいい場所に渋谷の街に溶け込むように佇んでいた。
完全に観光スポットとして、渋谷に来てハチ公を見た後、スクランブル交差点にきた。
見た瞬間に、あ〜カッコいいって思ったし感動した。
その後は何度も渋谷を訪れるにつれ、スクランブル交差点を何度となく渡った。
初めの頃は、渡るたびに小市民な私は緊張したし、ドキドキと興奮もした。
それでも何度も通っているうちに慣れてきたもので今では『スクランブル交差点と言っても、結局ただの交差点だよ』と鹿児島から遊びに来た友達に偉そうに案内しながら言えるまでになった。
本当は、今でもスクランブル交差点で信号を待っていると少し緊張する。それでも平然とした顔を装い黙って青になるのを待つ自分は、はたから見て忠犬ハチ公みたいに街に溶け込んで見えているだろうか?
信号は赤。
手は、がっちりと三浦くんに掴まれていた。
青に信号が変わると三浦くんに手を引かれ急ぎ足で交差点の真ん中まで歩いてきた。
三浦くんは都会育ちだし、スクランブル交差点での余裕な笑顔もサマになるから羨ましい。
ん、なんなの?
スクランブル交差点の真ん中で、動かなくなる三浦くん。
いたずらを思いついた時のような少年の表情を見せている。
コレは、なにか良からぬ事を企んでる時の顔だ。