《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』


「ごめ……ん。ちょっと、たんま」

鼻を覆いながら、ベッドを下りてしまった三浦くん。


信じられない! なに、これ! どういうことよ!


ひどい屈辱的な感じじゃない? 試合途中で組み合った挌闘家が相手の選手が思い切りワキガか何かで相当に臭いからって、突然リングを下りたりする? しないよね? 


いそいで、起き上がってブラウスのボタンを震える手で閉め始める。


「ごめん。真澄さん」

必死にボタンを閉めていた。なかなか閉められないで焦りまくる。

「いーの。大丈夫だから、気にしないで。こっちこそごめんね。その……そんなに我慢できないほど臭いなんて、本当女じゃないよね。あ~だから、今度こういう事がある時には、事前に……あ、でも、こんな事はもうないか。臭い女としたいとなんて思わないもんね? はははっ」


自分で言っててむなしかった。泣きたい気分だった。出来れば、もう一人になってワインを一本空けてしまいたい。いや、こういう時は、芋焼酎で酔いたい。


ボタンをやっと第一ボタンまできっちりと留めて、息苦しくなったところで顔を上げた。ベッドに戻ってきた三浦くんは、ティッシュで鼻を押さえて眉毛をハの字にしていた。


「俺こそごめん。肝心なときに……」

ティッシュボックスを抱える三浦くんは、少し上を向いて、急いでティッシュを数枚引き抜いて鼻に当てた。
三浦くんが手にしているティッシュが赤く染まるのが見えた。長い指先に赤いものがついている。


「三浦くん……まさか……」



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